原型の幻想

インターネットは吐き出すのにお手軽な場所で

インターネットは吐き出すものを忘れさせてしまう

何かへの衝動や思考や感情を
うまく出せなくて
でも、出したくて
そういう時にとてもお手軽なのに

好きな人やものを見つけて眺めるのもお手軽で
そうして、
その人たちが吐き出したものを
ぼぉっと見ているうちに
自分が何かへ何を感じたのか忘れてしまう

どんどん薄くなっていく

ぺたんこになって

それで吐き出した気分になっている

(そうやって忘れてしまうようなことは)

(たいしたものじゃあない)

そう、言い聞かせてまたぺたんこになる

(最初からなかったみたいに)

(でも、確実に絶対にあった)

だんだんだんだん薄まっていく

細分化されていくから

どんどんどんどん小さくなる

そうした細切れの何かへの何かを

拾い集めてみても

ちっともつまらない

わたしはわたしがつまらなくなっている

おてあげ こうさん しろはた

ほら、もうつまらない

わたしはわたしが細分化され

小さく薄くぺたんこになる様を見て

悲しくもなれないし泣けない

なんてことだ